★カセットを聞いてのウォーキングで
私は健康のためもあって、毎朝1時間ほどのウォーキン グを楽しんでいます。
自宅から大渕公園、二名公民館、二名中学校、おうか保育園、二名幼稚園、二名小学校、(時に富雄川をへて杵築神社)、御嶽山大和本宮への参拝、松伯美術館を対岸に望みながら、大渕池畔から帰宅するのが日課となっています。
去年までは飼犬も一緒でしたが、今年の正月、犬としては16歳余りという天寿を全うしてから、一人での行動となりました。
しかし、ただ歩くだけでは意味がありませんので、講演や英会話のテープ、船井メディア発売のリスニングマガジン「JUST」などを聞いています。
加えてこの春から、放送大学大学院の講義カセットもこれらに加わりました。
ところで、日本語での講演や英会話を聞いているときには感じないことが最近起こりました。それは放送大学の講義カセットの中に、「日本の神国・仏国思想」と「中国・朝鮮の歴史像」計30巻があり、講義録音の音声だけでは全く理解出来ない用語がしばしば出てくるのです。
例をあげますと、中国の明清時代の「郷紳」(キョウシン)がその一つです。テープから聞こえてくる「キョウシン」という音声だけではさっぱり意味が理解できませんでした。
帰宅してから印刷教材を見ると「郷紳」とあり、これなら当らずとも遠からずの意味を一応は推察できます。
「郷」は故郷などの郷であり、「紳」は紳士の紳とすれば、伝統社会における支配的な階級であることがわかります。解説によれば、イギリス社会でのジェントリーに相当するとあり、納得出来ました。
★表意文字のすばらしさ
前にも何回かお話ししましたが、私は殆ど毎朝、友人2人とラッシュを外して座れる準急に乗り、大阪へ通勤しています。その1人が吉崎
努さんで刻字の大家。もちろん漢字についてのご造詣が深い方です。
ある日、先ほどの感想などから、いろいろ漢字の由来についてのよもやま話になりました。難しいことはしばらくおくとして、表意文字の良さの二三をご紹介いたします。
先ず「サンズイ偏」がついていれば水に関係した言葉ということがわかります。湯、浴、泳、浅、深、流、池、河、海、浮、沈、浜、沖、潜などがそうです。
「木偏」では、梅、松、桜、杉、檜、桐、柱、板、棚、桁、柵、植、根などがあります。
「手偏」では、技、持、採、、揚、掻、拗、押、捌、披、拂、捕、握、抑などがあり、旁からはその動作が理解できる語も少なくありません。
中国では、古来から広い領土の統治に漢字が使われた理由は、広い各地域では方言があり、発音は違っても、意味の通じる漢字が重宝されたのでしょう。
7世紀から8世紀にかけ、我が国と隋・唐の間にかなり交流がありましたが、もちろん漢字が重要な意志疎通の手段だったと考えられます。
それにしても、日本語には我が国古来からの「やまとことば」があり、これに熟語など主に「漢字音」、さらに「五月雨(さみだれ)・時雨(しぐれ)」などの独創的な用語、「ひらがな・カタカナ」の発明と使い分けの巧みさなど、外来文化の取り入れとともに、日本人の思考の柔軟さには全く驚くほかありません。
なお漢字は一字だけでも大そう意味深く感じられる大きな特長があります。掛け軸や色紙などに、「無」「心」「誠」といった一文字でも、十分に深い意味を感じとることが出来ます。
これが「A」とか「B」では何のことか、「do」「is」や「now」「old」となっても表音文字では心にきません。
★無味乾燥な表音言語
表音文字の代表的な言葉の一つが英語ですが、そのスペル(綴り)から言葉本来の意味を知ることは殆ど不可能です。ほん一部に、接頭辞・接尾辞で意味を付け加えたり、品詞を変化させる単語の使い方があるだけです。
「black・黒」「blame・とがめる」「block・塊」「blood・血」「blow・吹く、強打」などをとってみても、似たようなスペルから始まっても、全然違う意味ばかりで、共通点は見出せませんでした。
韓国では、日本が統治をしていた頃、向こうの新聞は「漢字とハングル」という、つまり日本での「漢字とかな使い」と同じ使い方だったと記憶しています。
それが、現在の韓国での印刷物の全部といてよいほど、表音文字のハングルで、漢字混じりは殆ど見当たりません。
去る2月、ソウルの最大級の書店に入りましたが、私が見た限りでは、外国語教科のコーナーを除き、ハングル文字のみで印刷された書籍・雑誌ばかり、漢字まじりは見当たりませんでした。
また、タクシーの運転手に漢字で書かれたガイドブックを示しましたが、行き先が通じませんでした。
なお先に例をあげました「郷紳」という同じ発音の熟語を辞書で調べますと「狂信・共進・共振・強心・強震・狂信・教信・興伸・恐神・京進・協心・侠心・驕心・驕臣・恭慎」と、何と16もありました。
こうしたことから、韓国での歴史、文化、伝統などの研究や継承についてハングルだけでは支障が出ないか、文化の継承に断絶がないか、よそ事ながら心配になりました。
もっとも、韓国において、パソコンの普及率は世界でもトップと聞いております。
ハングル語は、母音が10、子音が14で、一文字はその組み合わせです。日本語のようなローマ字打ちから面倒な漢字への変換が必要ではありません。これが韓国におけるIT普及に際し、かなり寄与しているのかも知れませんが・・・。
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